マップ デザイン

実際に歩いて確認した情報をベースマップに描画

 季節の景観が美しいユガテは「奥武蔵の桃源郷」とも称される山上集落。かつて山麓からユガテに通じていた古道飛脚道が地元の有志により再興、深沢山・愛宕山周辺では「奥武蔵ロングトレイル105K」の整備が進められ、ともに新しいハイキングコースとして期待されています。

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左:ユガテ付近の地形図(地理院地図|GSI Maps サイトより)、右:背景の段彩を除いたユガテ付近のハイキングマップ(弊社制作地図)

 いずれの新コースも実地踏査を行い、経路や主要地点の位置をGPSで測位。新コースの経路と地名をベースマップに記載していきます。このとき、コース中の地名については、登山者・ハイカーが実際に歩くとき、目印にもできるよう、原則として、標識や案内図など現地で確認できたものを記載しています。「地図に載っているけれど、現地では確認する物がない」、「現地に標識などがあるのに、地図には載っていない」といった混乱を避けるためです。

 ハイキングコースは、赤色の破線で描画していきます。地図の目的によっては、メインコースを明瞭な赤色、サブコースを橙色などで区分します。地形図では、濃灰色の破線が徒歩道を表し、ハイキングコースの多くも徒歩道を利用することから、ハイキングマップでも線種を破線に設定しています。

 破線に設定することで、ハイキングコースが軽車道(濃灰色の実線)や車道(数種の幅がある二条線)の場合でも、歩く道路(地図でコース線と重なっている道路)の種類を判読できるようにしています。コース選びやコースの下調べをする際、「この区間は徒歩道を歩くのか、車道を歩くのか」、登山者・ハイカーにとって重要な情報となるからです。

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同様に新設されたコース(大明神展望台登山道入口〜大明神展望台)を追記した石老山(神奈川県相模原市)のハイキングマップ 左:地形図(地理院地図|GSI Maps サイトより)、右:背景の段彩を除いたハイキングマップ(弊社制作地図) 石老山付近は山名や標高数値がコースと重ならないよう位置を調整している

試行を重ね、見やすい段彩を設定

 標高によって色を塗り分け、土地の高低を表す段彩と、一定方向からの光を想定して尾根や谷に陰影を施す地形表現は、登山地図・ハイキングマップ制作において最も重要となるデザインのひとつです。

 配色と色を塗り分ける標高ラインは、無限ともいえる組み合わせのなかから試行を重ね、記号類や注記の可読性を落とさない配色を割り出し、見やすい段彩を施しています。

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左:背景の段彩を除いたハイキングマップ(棒ノ嶺|埼玉県飯能市) 右:標高による段彩と地形の陰影を背景にした同マップ(弊社制作地図)

 段彩は、同じエリア内の地図では、色を塗り分ける標高ラインを統一しますが、地図ごとに標高ラインを変えて設定することもできます。これにより標高の低い丘陵地や低山でも、色彩の幅がある見やすい登山地図・ハイキングマップの制作を可能としています。

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標高300m〜400mのエリアに色調の幅がある段彩を設定したハイキングマップ例(奥武蔵|日和田山・物見山|サンプル地図)

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登山道・ハイキングコースの巡視、レポート

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