地図アプリで始める山の地図読み

 本書は、登山・ハイキングをはじめ、トレイルランニングや古道ウォーキング、ネイチャーウォッチングなど、山をフィールドとした活動で役立つ「地図読み」の入門書としてまとめました。
 その入口として、スマートフォンの地図アプリを提案します。まさに手に収まるほどの小さな入口ですが、そこから広がっていく世界は、無限大といってよいでしょう。

地図アプリで始める山の地図読み 佐々木亨 山と溪谷社

 山では地形図に表された情報と実際の景色を照合して、現在地確認や進路判断を行ないます。地図アプリを活用すれば、それらの作業はアプリに任せることができ、手間がかからず、とても便利です。
 でも、なぜここが現在地なのか、なぜこちらが進路なのか、理由がわかると地図読みは、俄然おもしろくなります。理由がわかれば、歩かされているのではなく、歩いている実感が増します。地図アプリが息の合う山のパートナーに思えるでしょう。

Part1 地図アプリでシュミレーション登山 いつでも、どこでも山の予行演習

めざすは日本の最高峰 バーチャル富士登山
 登山では2つのタイプの地図を活用
 富士宮ルートから富士山頂をめざす
 富士宮口五合目から登山スタート
 六合目から新七合目へ 火山礫の斜面を登る
 岩崖を通過し 八合目の山小屋で休憩・仮眠
 明日の行程を地図アプリの便利な機能で確認
 ヘッドランプをつけて未明に頂上へ急登
 みごと登頂 ビューポイントでご来光を望む
 お鉢めぐりをして同ルートを下山

Part2 地形図と地図アプリの基礎知識 地図アプリを上手に使うために

日本のオフィシャルマップ 国土地理院地形図
 国土の全域をカバーする地形図
 登山地図=主題図と地形図=基本図は補完関係にある
 国土地理院地形図を活動できる登山向き地図アプリ

まず覚えたい地図アプリの基本機能
 見やすい色調の国土地理院地形図を選んで表示
 地形図の必要な範囲を事前に取り込んでおく
 ノースアップとヘディングアップ 地形図の向きを設定
 現在地を測位するGPS機能を使う
 任意の地点をウェイポイントに設定
 ウェイポイントを選んでルートを作成
 歩いた軌跡 トラックを活用
 トラックを利用したナビゲーション
 地形を立体的に表示
 カスタムマップを読み込む

地図アプリで始める山の地図読み 佐々木亨 山と溪谷社

Part3 さあ、地図読みに出かけよう 地図アプリを使って山を歩く

市街地に近い低山のハイキングコースで地図読みレッスン
 やさしいコースで地図読みに慣れる
 最初はこんなコースを選ぼう
 地図をキャッシュ 北を上に設定して歩きはじめる
 馴染みのある地図記号を探そう
 市街地の車道や公園の遊歩道など道の表され方に着目
 建物に関する地図記号
 道路に関する地図記号
 鉄道に関する地図記号
 境界に関する地図記号

標高と傾斜、植生を観察しながら自然地形を歩く
 登山口から天覧山へ標高差約74mを登る
 高さを表す代表的な地図記号 等高線を知ろう
 植生記号でコース沿いの自然景観をつかむ
 ハイキングコースの前後・左右の様子を観察してみよう
 植生に関する地図記号
 そのほかの目標物に関する地図記号
 基準点・特定地区に関する地図記号

地図アプリで始める山の地図読み 佐々木亨 山と溪谷社

Part4 山の地形を立体的にとらえる 地形図から山頂や尾根、谷を読み取る

鞍部や巻き道など地形を表す登山用語を知ろう
 知っておきたい山の地形と呼び方
 頂上に立ったら等高線の描かれ方に注目してみよう
 閉じた最小の輪を見つけピークと尾根をとらえる
 谷と鞍部(コル)の地形をとらえる
 地性線を書きながら傾斜の方向をつかむ

進んでいく方向に地図が回転する整置を理解しよう
 地形図の表示をヘディングアップに
 地形図の向きと方角を確かめる
 地図の北=真北とコンパスの北=磁北とはズレがある
 視点を変えると地形図が回転しても地形図の向きは一定

地図アプリで始める山の地図読み 佐々木亨 山と溪谷社

崖や滝の記号から土地の高低と傾斜の方向をつかむ
 記号の置かれ方で高低がわかる
 渓谷沿いの遊歩道で地図記号と景観を照らし合わせる
 陸部の地形に関する地図記号
 河川や水部の地形に関する地図記号
 全国どの山も地形図の読み方は同じ

Part5 地図読みステップアップ 地図アプリで答え合わせ、地図読み力を磨く

課題を設定して歩く地図読み実践トレーニング
 まず自分で判断してアプリで答え合わせ
 周辺の目標物からコースの起点となるバス停の位置を特定
 尾根上にチェックポイントを置いて現在地確認
 登山道の分岐で進路を確かめる
 景信山から小仏峠へ 尾根の起伏と緩急を読み取る
 小仏峠から城山へ 道と地形をそれぞれ確認する
 これから歩くコースの地形や景観を予測する

地図アプリで始める山の地図読み 佐々木亨 山と溪谷社

地図読みトレーニングモデルコース
 日和田山・物見山(埼玉県日高市・毛呂山町・飯能市)
 高水三山(東京都青梅市)
 大野山(神奈川県山北町)
 六甲最高峰(兵庫県芦屋市・神戸市)

Part6 アクシデントを回避する地図読み アナログツールにも強くなる

迷いやすい道と地形のパターンを知識としてストックする
 複数の登山道が集まる頂上はコースの分岐点
 地形図上の道と実際の道とが違う
 縦走路で尾根から外れる
 沢を徒渉し対岸の登山道へ

もしものときのアナログツール 紙地図と方位磁石
 磁北線を引いた地形図をプリント
 登山に向くフィールドコンパス
 現在地がわかるときコンパスで目的地の方向を知る
 コンパスの操作ミス 南北エラーに気をつける
 クロスベアリングで地図読みの習熟度を高める

Part7 地図を自在に歩く 机上登山のすすめ いつか行きたい山へ、思いをめぐらせる

地図アプリで訪ね歩く 尾瀬と八ヶ岳
 地形図で山と出会う楽しみ
 本州最大の湿原 貴重な自然を育む尾瀬ヶ原
 尾瀬の水を集めて落とす平滑ノ滝と三条ノ滝
 尾瀬のシンボル 東北地方の最高峰・燧ヶ岳
 颯爽とそびえ立つ八ヶ岳の主峰・赤岳
 岩峰を連ねる横岳と爆裂火口が切り立つ硫黄岳
 特異な地形が見られる天狗岳・ニュウ周辺
 針葉樹の原生林に包まれた白駒池

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地形図教材(PDF|カスタムマップ)のダウンロード

 本書と連動した地形図教材をダウンロードできます。コンビニプリントなどを利用してA3判に印刷できるPDFと、地図アプリ「ジオグラフィカ」や「スーパー地形」で読み込めるカスタムマップ(KMZファイル)をGoogleドライブからダウンロードできます。

地図アプリで始める山の地図読み(佐々木亨著|山と溪谷社) 地形図教材ダウンロード
本書と連動した地形図教材ダウンロード|A3判に印刷できるPDF 測量法に基づく国土地理院長承認(使用)R 2JHs 1177

地図アプリで始める山の地図読み(佐々木亨著|山と溪谷社) 地形図教材ダウンロード
本書と連動した地形図教材ダウンロード|地図アプリで読み込めるカスタムマップ 測量法に基づく国土地理院長承認(使用)R 2JHs 1177

カスタムマップ(KMZファイル)の読み込み方(iOS)

 あらかじめカスタムマップの読み込みに対応した地図アプリ、およびファイルのダウンロードのため、Googleドライブアプリをインストールしてください。

ジオグラフィカ App Store Google Play
スーパー地形 App Store Google Play
Googleドライブ App Store Google Play

①カスタムマップのダウンロード先のリンク(著者のSNS|Facebook)を長押しして、または紙面のQRコードを読み取って、リンク先のURL(Googleドライブの共有フォルダ)にアクセスします。
②リンク先のURLをGoogleドライブアプリで開き(ブラウザで開いた場合は、Googleドライブアプリで開き直します)、KMZファイルが表示されたら、ダウンロードするファイルを選びます。スーパー地形は(分割)と記載されたファイルを選んでください。
③ファイルの右側のメニューから「アプリで開く」操作へ進み、読み込む地図アプリのアイコンをタップします。アイコンが見当たらない場合は、右端までスクロールして「その他」の操作へ進んでください。
④地図アプリでKMZファイルの読み込みが開始され、該当の場所にカスタムマップが表示されます。カスタムマップの表示・非表示・削除などの操作は、各地図アプリのマニュアルを参照ください。また複数のカスタムマップを同時に開くとメモリ不足になる場合があります。カスタムマップは1枚ごと表示させるようにしてください。なお、ファイルの再配布はご遠慮ください。測量法に基づく国土地理院長承認(使用)R 2JHs 1177

 教材の地図およびGPSによる測位は、もとより若干の誤差(状況によって10〜20m程度)を含んでいるものとして利用するようにしてください。また地図作成後に自然災害やその復旧工事等により、登山道、林道、ランドマークとなる構造物等が変動することがあります。登山・ハイキングにあたっては、事前に現地の最新情報を確認したうえで、国土地理院地形図をはじめ、市販の登山地図帳など、複数の地図の併用を推奨します。

登山地図・ハイキングマップ受託制作|地図読み講習会開催のご案内

 実踏調査から印刷用データ・アプリ用データ(カスタムマップ)作成まで、地方公共団体や観光協会、観光関連事業者向けに、熟達したスキルで出版物と同じクオリティの登山地図・ハイキングマップを受託制作します。

 登山者・ハイカー、トレイルランナー、ウォーキング指導者、ビジターセンター職員の方などを対象に地図読み(読図)講習会を行っています。受講者はこれまで延べ約2000人、日本の基本図である国土地理院地形図の読み方やコンパス(方位磁石)と組み合わせた使い方を分かりやすくレクチャーしています。

お問い合わせ・ご相談はこちらをご覧ください。